2018年5月9日 FB投稿記事

5月15日に出版される『病気はチャンス』第1章の中身を
9回に分けて順番にアップしています。
今回は、添付画像の図1を見ながらお読みください。
【第8回:「治る力」を引き出す漢方】
ここまで、病気になる前の未病の段階で
早めに治しましょうという話をしてきましたが、
漢方の古典に書かれている
「上工は未病を治して、已病を治さず」という言葉には、
もう一つ別の意味があります。
それは、「已病の部分」ではなく、
「未病の部分」を治すということであり、
病気になった後でも、
身体の中に残された未病の部分に注目して、
そちらを先に治療するということなのです。
ゆで卵をイメージするとわかりやすいのですが、
黄身が「已病の部分」で、白身が「未病の部分」だとします。
図1に示したように、西洋医学が已病の部分(黄身)を
直接的に治療しようとするのに対して、漢方医学は
未病の部分(白身)を治療することで「治る力」を引き出し、
結果的に已病の部分(黄身)も良くなるようにしているのです。
患者さんの中には「治る力」が存在するのですが、
未病の部分があるとそれがうまく働かなくなり、
そのために已病の部分が治りにくくなってしまいます。
そこで、未病の部分をまず治療して、
治る力が再びうまく働くようにしてあげれば、
患者さん自身の力で已病の部分は自然に治るのです。
風邪の患者さんを例にして考えてみましょう。
普段はめったに風邪をひかない人でも、
仕事が忙しかったり、ストレスがあったりすると、
体調が悪くなり、風邪をひいてしまうことがあります。
このとき、体調の悪さという「未病の状態」から、
風邪という「已病の状態」に移行したわけです(図1)。
未病の部分があると免疫力や抵抗力が低下して、
治る力がうまく働かないので、風邪がなかなか良くなりません。
そこで、漢方の名医は、治る力を引き出すために
未病の部分を治療することを優先するのです。
このことは、風邪以外のすべての病気についても言えることです。
どんな病気であっても、未病の部分に注目して、
治る力を引き出すことができれば、改善する可能性があります。
第7章でお話ししますが、
がんのような病気であってもそれは同じなのです。
第1章解説動画
第1章 心身全体の不調は漢方におまかせ
前編 https://youtu.be/h2YfBcgxJ9I
中編 https://youtu.be/sXGWNyasLjo
後編 https://youtu.be/swk-uBETcos